<社会保険:健康保険・厚生年金>
<社会保険とは>
一般の従業員が加入する社会保険には、「健康保険」「介護保険」「厚生年金」の3つがあります。
健康保険とは、ケガや病気、出産、死亡に対する保障制度です。
厚生年金とは、老後の生活、障害、死亡に対する保障制度です。
介護保険とは、高齢者の介護サービスや介護支援を保障するための制度です。
*なお、上記の「労働者災害補償保険(労災保険)」と「雇用保険」、「健康保険」「介護保険」「厚生年金」を広い意味での「社会保険」という場合もあります。
◆保険者とは
労働保険と社会保険を運営する組織を保険者といいます。
◆被保険者とは
労働保険や労働保険に加入して保険料を納め、条件に応じて保険給付を受けられる人を被保険者といいます。
<社会保険の基本的な情報>
◆健康保険
○手続き窓口 : 全国健康保険協会(協会けんぽ)または健康組合保険(組合健保)
○給付内容 : 従業員とその家族の病気やケガ、出産、死亡などで保険給付
【現物給付】
・療養の給付 ・入院時食事療養費 ・入院時生活療養費
【現金給付】
・療養費 ・高額療養費 ・移送費 ・傷病手当金
・出産育児一時金 ・出産手当金 ・埋葬料、埋葬費
○保険料 : 保険料は被保険者の給与等で決まり、半分を会社、半分を被保険者が負担
◆厚生年金
○手続き窓口 : 年金事務所
○給付内容 : 従業員の老齢や障害、死亡の場合に年金給付
【老齢年金】会社員の場合
・老齢基礎年金+老齢厚生年金
【障害年金】会社員の場合
・障害基礎年金+障害厚生年金
【遺族年金】会社員の場合
・遺族基礎年金+遺族厚生年金
○保険料 : 保険料は被保険者の給与等で決まり、半分を会社、半分を被保険者が負担
<加入要件>
◆健康保険・厚生年金
健康保険・厚生年金とも、原則として常用の従業員全員が加入対象です。
役員(代表者含む)も、原則として被保険者になります。
【法律で健康保険及び厚生年金保険の加入が義務づけられている事業所】
(1)法人事業所で常時従業員(事業主のみの場合を含む)を使用するもの
(2)常時5人以上の従業員が働いている事務所、工場、商店等の個人事務所
ただし、5人以上の個人事業所であってもサービス業の一部(クリーニング業、飲食店、ビル清掃業等)や農業、漁業等は、その限りではありません。
【以下に該当する人は、全て被保険者になります】
①正社員、法人の代表者、役員
②以下の5つの要件をすべて満たす方
(1)週の所定労働時間が20時間以上
(2)勤務期間が1年以上見込まれること
(3)月額賃金が8.8万以上
(4)学生以外
(5)従業員501人以上の企業に勤務
※ (法改正)
・従業員が101人以上の企業(2022年10月から)
・従業員が51人以上の企業(2024年10月から)
(パートやアルバイト等の場合)
1週間の所定労働時間が、同じ会社(事業所)の正社員の1週間の所定労働のおおむね4分の3以上である場合は、被保険者の要件を満たすことになります。
※正社員が週40時間働いている場合に週30時間以上働いているケース
◆介護保険
従業員が40歳以上65歳未満なら介護保険に加入し、健康保険料とともに介護保険料を徴収して納めます。
<任意加入について>
【健康保険および厚生年金】
健康保険及び厚生年金の加入が法律で義務づけられている事業所以外の事業所であっても、次の要件を満たした場合は、健康保険及び厚生年金に加入することができます
(任意加入の要件)
◎従業員の半数以上が健康保険及び厚生年金の適用事業所となることに同意し、事業主が申請して厚生労働大臣の認可を受けた場合
■会社を設立したとき
<社会保険の適用手続>
会社を設立した場合、健康保険・厚生年金に加入する必要があります。
従業員がいない、役員だけの会社であっても健康保険・厚生年金には加入しなければなりません。
【社会保険】
◆加入手続きは「事業所ごと」
社会保険は、会社ごとではなく事業所ごとに加入します。本社の他、複数の支店や営業所がある場合には、原則としてそれぞれが加入手続きを行います。
◎届け出書類
・健康保険 厚生年金保険 新規適用届
・健康保険 厚生年金保険 被保険者資格取得届
・健康保険 厚生年金保険 保険料口座振替納付(変更)申出書
・健康保険 被扶養者(異動)届 *被扶養家族がいる場合
◎提出期限 : 会社設立の日から5日以内
◎提出先 : 年金事務所
◎添付書類
・登記事項証明書
・賃貸借契約書の写し(事務所を借りている場合)
*社会保険手続後には、年金事務所から「適用通知書」、加入者ごとに「被保険者資格取得確認及び標準報酬決定通知書」・「健康保険被保険者証」が交付されます。
■会社に関しての変更
<社会保険 : 会社の変更届け出>
事業所の名称や所在地、事業主の住所、氏名の変更、事業の種類の変更が行われた際の手続きです。
社会保険では、事業所移転や会社の名称変更などが行われた際には、「適用事業所 所在地 名称変更届」を提出することになります。
会社の事業所所在地の変更の場合で、管轄する年金事務所が他の都道府県に変わる場合は、健康保険料が変わることになります。
事業主の住所や氏名の変更、事業主の変更などの場合、「事業所関係変更届」を提出します。
【社会保険】
*事業所移転や会社の名称変更などが行われた場合
◎届け出書類 : 健康保険 厚生年金保険 適用事業所所在地名称変更届◎提出期限 : 変更した日から5日以内
◎提出先 : 年金事務所
◎添付書類
・登記事項証明書
*事業主の住所や氏名の変更、事業主の変更などの場合
◎届け出書類 : 健康保険 厚生年金保険 事業所関係変更届
◎提出期限 : 変更した日から5日以内
◎提出先 : 年金事務所
◎添付書類
・登記事項証明書
<社会保険 : 事業所が増えたときの手続>
社会保険も労働保険と同様に事業所毎に加入するのが原則ですが、一定の条件を満たす事業所であれば、本社のみを適用事業所にできます。
社会保険の一括適用を申請し、承認を受けることが必要となります。
(一括適用の主な要件)
・人事や給与事務が、本社などで集中的に管理されている。
・一括適用申請を行う事業主の事業所である。
・健康保険の保険者が同じである。
【社会保険】
◎届け出書類
全国健康保険協会管掌 健康保険 厚生年金保険 一括適用承認申請書
◎提出期限 : すみやかに
◎提出先 : 年金事務所(本社を管轄する)
◎添付書類 (所定の書式があります)
・人事、労務及び給与に関する事務の範囲及びその方法
・各種届書の作成過程及び被保険者への作成過程または届出の処理過程
・被保険者の資格の確認等の通知及び健康保険被保険者証等の交付の処理過程
*一括適用を受けると、本社・支社の間で人事異動が行われた際も社会保険の取得・喪失手続きが必要なくなります。
■毎年の手続き
<社会保険 : 算定基礎届>
【社会保険の算定基礎届とは】
給与は変更が生じることがあるため、社会保険料は1年に一度見直しされます。これを「定時決定」といい、毎年、会社は算定基礎届の提出が必要となります。
保険料の基礎となる標準報酬月額は、原則4・5・6月の給与額(報酬月額)を合計して3で割った金額を、保険料額表により決定されます。
決定された標準報酬月額が9月から翌月8月まで適用されます
◆定時決定の対象外となる人◆
*原則7月1日現在の全ての従業員(被保険者)が定時決定の対象となります。
下記の人は対象外となります。
①6月1日から7月1日に入社
②7月から9月に随時改定などがされる人
③6月30日以前に退社した人
◎届け出書類
健康保険 厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届
◎提出期限 : 毎年7月1日~7月10日
◎提出先 : 年金事務所
◎添付書類 : なし
【算定基礎届の流れ】
①4・5・6月の給与額(報酬月額)の平均を計算
・従業員ごとに月の給与支給額が決定後に計算を行い、算定基礎届を作成します。
②算定基礎届を提出
・算定基礎届を年金事務所に提出します。
③9月:標準報酬月額の改定
・10月の給与支払い時から新しい標準報酬月額となります。
・翌年8月までこの標準報酬月額が適用されます。
<給与の変更・賞与の支払い>
年の途中に従業員の給与に大きな変動があった場合には定時決定を待たず標準報酬月額の変更を届け出る必要があります。
この届出を随時改定といいます。
(随時改定に該当するとき)
下記の全てに該当するときに随時改定することになります。
①固定的賃金の変動があるとき
*固定的賃金とは、基本給のほか、家族手当や通勤手当など毎月の支給金額が固定されている手当のことをいいます。
*勤務時間や実績によって変化の生じる残業手当や精勤手当の増減のみなら、随時改定の対象外です。
②変動後の3か月すべてに支払基礎日数が17日以上ある
③従前の標準報酬月額と2等級以上の差がある
【随時改定の手続き】
◎届け出書類 : 健康保険 厚生年金保険 被保険者報酬月額変更届
◎提出期限 : 給与を変更した月から4か月目
◎提出先 : 年金事務所
◎添付書類 : 特になし
従業員への賞与の支払いがあった場合、支給後に届け出が必要です。
社会保険料の支払い義務もあります。
賞与への保険料=標準賞与額×保険料率
*標準賞与額には上限があります。
●健康保険 : 573万円(1年間累計:4月から翌月3月)
●厚生年金 : 150万円(1か月あたり
◆賞与の支払いが年4回以上あった場合◆
賞与とは、名称によらず、労働の対価として支給される年3回以下のものです。
年4回以上の賞与は報酬扱いとなり、7月の算定基礎届提出時に報酬に含めて計算します
【賞与支払い時の手続き】
◎届け出書類
・健康保険 厚生年金保険 被保険者賞与支払届
・健康保険 厚生年金保険 被保険者賞与支払届総括表
◎提出期限 : 賞与を支払った日から5日以内
◎提出先 : 年金事務所
◎添付書類 : 特になし
<年次有給休暇の管理について>
●年次有給休暇とは
年次有給休暇(年休)とは、会社を休んでも給与が出る休暇です。
入社の日から起算して6か月継続勤務をし、その期間に8割以上出勤をした場合は10日、入社して1年6か月経過後は11日、2年6か月以上経過後は12日、というように付与されるものです。
●年次有給休暇を取得したときの賃金
年次有給休暇取得日の賃金は、就業規則(給与規定)の定めに従い、次のいずれかの方法で計算した額を支払います。
①所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
②平均賃金
③標準報酬日額(労使協定が必要)
●年次有給休暇の出勤率の計算
年次有給休暇は、前1年間(初回は半年間)の全勤務日数のうち8割以上出勤したときに付与します。
8割以上出勤において出勤したとみなされる日は以下の通りです。
□業務上の負傷または傷病のために休業した期間
□育児・介護休業法の規定による育児休業または介護休業した期間
□労働基準法が定める産前6週間(多妊娠は14週間)及び産後8週間における産前産後の休職期間
□年次有給休暇を取得した日
【年次有給休暇の付与】
出勤率 = 出勤日 ÷ 全労働日(総暦日数ー所定休日) ≧ 8割
<有給休暇の義務化について>
2019年4月より「有給休暇の義務化」がスタートします。
【有給休暇の義務化】
2019年4月から、すべての会社において、年10日以上の年次有給休暇が付与されてる労働者に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日に関して、使用者が時期を指定して取得させることが必要となります。
【使用者の時期指定による有給休暇の取得】
法改正で必要となる年次有給休暇の時期指定義務は次の流れで原則行います。
①使用者が労働者に対してヒアリング「いつ休みたいですか?」
②労働者の希望日を把握した使用者は、その希望日を考慮して、「●月●日に休んでください」と有給の取得時期を指定。
会社としては、2019年4月からは、年10日以上の年次有給休暇が付与されてる労働者に対しては、年5日の年次有給休暇が与えなければならない、ということが法律上の義務であることを認識し、どのような準備や対策をすべきか早めに検討をする必要があります。
【義務化のポイント】
「年10日以上の年次有給休暇が付与されてる労働者に対しては、年5日の年次有給休暇が与えなければならない」という義務化のポイントは次の通りです。
●対象となる労働者は、年次有給休暇が10日以上付与される労働者
●労働者個人ごとに、初めて年次有給休暇を付与した人基準日とし、その日から1年以内に5日間の有給を取得することが義務となります。
●年次有給休暇の基準日、与えた日数、取得・指定した時期を明らかにした書類(年次有給休暇)の作成が義務となります。
●休暇時期を指定する場合は、使用者が労働者と話し合いの上で決めることができます。
●年次有給休暇を5日以上取得済みの労働者に対しては、使用者による時季指定は必要はありません。
*会社としては、労働者の有給休暇の取得状況を常に把握して管理しておくことが重要になります。
【どのような準備をするれば良いか:対策の方法】
年5日の有給休暇の取得義務化に備えて、会社としてどのような対応方法があるか、最低限度知っておいた方が良いこと(活用すべきお勧めの対策方法)をお伝えします。
①個別指定方式
従業員ごとに取得日数を確認し、5日未満になってしまいそうな従業員に対して、会社が有給休暇取得日を指定する方法。
*就業規則にて、「5日未満の従業員について会社が有給休暇を指定する」という記載が必要になります。
②計画年休制度
会社が従業員代表との労使協定により、各従業員の有給休暇のうち5日を超える部分について、あらかじめ休む日にちを決めてしまうことができる制度です。
●会社もしくは事業全体での一斉付与
大型連休中の途中の平日など
●班・グループ・部署別の交替制付与
部署の仕事が落ち着いている時期など
●個人別付与
誕生日、結婚記念日、夏季休暇、冬期休暇など
*労使協定の締結が必要となります。
【勤怠管理・有給休暇管理システムの導入について】
勤怠管理や有給休暇管理をWeb上で行うクラウド型システムの導入をサポートする業務も行っております。
給与計算との連携も行っています。
勤怠管理・有給休暇管理のシステム導入について➡ こちらからどうぞ
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■社員の採用・退社
<社会保険の採用・退職届け出>
◆採用・雇用
従業員が入社したら、社会保険(健康保険、厚生年金保険)加入手続きを行う必要があります。
(健康保険・厚生年金)
健康保険・厚生年金とも、原則として常用の従業員全員が加入対象です。
役員(代表者含む)も、原則として被保険者になります。
【法律で健康保険及び厚生年金保険の加入が義務づけられている事業所】
(1)法人事業所で常時従業員(事業主のみの場合を含む)を使用するもの
(2)常時5人以上の従業員が働いている事務所、工場、商店等の個人事務所
ただし、5人以上の個人事業所であってもサービス業の一部(クリーニング業、飲食店、ビル清掃業等)や農業、漁業等は、その限りではありません。
【以下に該当する人は、全て被保険者になります】
①正社員、法人の代表者、役員
②以下の5つの要件をすべて満たす方
(1)週の所定労働時間が20時間以上
(2)勤務期間が1年以上見込まれること
(3)月額賃金が8.8万以上
(4)学生以外
(5)従業員501人以上の企業に勤務
※ (法改正)
・従業員が101人以上の企業(2022年10月から)
・従業員が51人以上の企業(2024年10月から)
(パートやアルバイト等の場合)
1週間の所定労働時間が、同じ会社(事業所)の正社員の1週間の所定労働のおおむね4分の3以上である場合は、被保険者の要件を満たすことになります。
※正社員が週40時間働いている場合に週30時間以上働いているケース
(介護保険)
従業員が40歳以上65歳未満なら介護保険に加入し、健康保険料とともに介護保険料を納める必要があります。
*会社の代表者や役員も、原則として被保険者になります。
【社会保険に加入できない従業員】
①1日ごとに雇われ、その期間が1ヵ月超えない従業員
②2カ月以内の契約期間で働く従業員
③4か月以内の季節的業務で働く従業員
④6か月以内の臨時的な事業で働く従業員
・①②は、その期間を超えて引き続き働く場合、その超えた日から加入する
・③④は、この期間を超えて働く予定なら当初から加入する
【健康保険・厚生年金 加入の手続き】
◎届け出書類
・健康保険 厚生年金保険 被保険者資格取得届
・健康保険 被保険者(異動)届
・国民年金第3号被保険者資格取得届(20歳以上60歳未満の配偶者なら)
◎提出期限 : 入社した日から5日以内
◎提出先 : 年金事務所
◎添付書類 : 特になし
*被保険者資格取得届には、マイナンバーが必要です
◆退職
従業員が退職すると健康保険・厚生年金保険の資格を失うため、会社は年金事務所にその届出を行います。
*退職以外でも、厚生年金では従業員が70歳になったとき、健康保険では75歳にになったときは、被保険者資格を失いますので届け出が必要となります。
【健康保険・厚生年金 資格喪失の手続き】
◎届け出書類 : 健康保険 厚生年金保険 被保険者資格喪失届
◎提出期限 : 退職した日から5日以内
◎提出先 : 年金事務所
◎添付書類
・退職者とその被扶養者の健康保険証
*紛失などで保険証がない場合:健康保険被保険者証回収不能・滅失届
<社会保険の切り替えについて>
従業員を雇用したときの手続きです。
従業員を雇用するには主に次の3つのパターンがあると思います。
①学校(高校あるいは大学・専門学校)を卒業予定者(現在:国民健康保険に加入)を雇う。
②現在無職の方(現在:国民健康保険に加入)を雇う。
③転職の方を雇う。
上記①②の場合(国民健康保険➡新たな社会保険)の手続き
(会社側でやること)
●社会保険の加入手続き
国民健康保険から新たに社会保険に加入する手続きとなります。
(雇用された者がやること)
●健康保険被扶養者(異動)届の提出(会社に対して)
*通常、会社が書類を準備します。
●マイナンバーの通知(会社に対して)
*社会保険手続きで必要になります。
●国民健康保険の脱退手続き(住民票のある各市町村役場で)
*国民年金の脱退手続は必要ありません
(手続きの際持参するもの)
◆加入した社会保険の保険証(被扶養者分も)
◆国民健康保険の保険証(切り替える方全員分必要)
◆運転免許証など本人確認できるもの
上記③の場合(転職)の手続き
転職する場合、退職することになった会社では社会保険の資格喪失手続きを行う必要があります。
(退職する会社に提出するもの)
●健康保険被保険者証(被扶養者分も含めて)
転職をする場合の社会保険の手続きについては、次のAとBのパターンがあるかと思います。
A:退職してすぐに(退職翌日あるいは退職から2週間以内)に転職先の会社に入社
B:退職⇒無職の期間(2週間以上)⇒転職先の会社に入社
●Aの場合 ⇒新しい会社の方で社会保険手続を行うのみ。
●Bの場合 ⇒無職の期間がある場合、次のような選択肢があります。
(無職の期間が長い場合)
◆家族の扶養に入る
家族のうち、どなたか(配偶者など)、会社勤務をされている場合、その社会保険に被扶養者としてはいることが可能です
◆任意継続被保険者になる
会社を退職しても、社会保険(健康保険)をそのまま任意継続できる制度です。
手続きは自分自身で、退職後20日以内に行う必要があります。
◆国民健康保険に入る
市町村での加入手続きが必要です。
*扶養家族がある場合、国民健康保険では被扶養者という仕組みがありませんのでその分保険料がかかってきます。
社会保険の切り替え手続きについては、個別のパターンにより必要な書類が異なりますので事前に確認しておくことをお勧めします。
■社員に関しての変更
<氏名変更届>
結婚や離婚などで従業員の氏名が変わった場合には、ハローワークや年金事務所に届け出が必要です。
※現在は、「マイナンバー登録」されていますので自動的に変更されます。
<住所変更届>
引越しなどで従業員の住所が変更になることがありましたら、年金事務所へ届出をする必要があります。
※現在は、「マイナンバー登録」されていますので自動的に変更されます。
<扶養家族が増減したとき>
結婚、出産、離婚、死亡などで従業員の家族の数が変更になった場合、健康保険と厚生年金の届け出を行います。
◎届け出書類 : 健康保険被扶養者(異動)届
◎提出期限 : 増減があった日から5日以内
◎提出先 : 年金事務所
◎添付書類
・住民票 など
<社会保険 : 70歳に到達したときの手続>
従業員が70歳になった際、または70歳以上の人を雇った場合には、厚生年金の適用についての手続きが必要となります。
従業員が70歳になると、厚生年金の加入資格を失い、以後保険料の徴収も必要がなくなります。
しかしながら、70歳以上の従業員にも在職老齢年金が適用されるため、70歳以上の従業員については、算定基礎届などで給与や賞与の支給内容を届け出を行う必要があります。
この70歳以上の従業員を、「70歳以上被用者」といいます。「70歳以上被用者」は、以下に該当する人です。
①70歳以上で、厚生年金の適用事業所に新たに雇われる人
②70歳になっても引き続き雇われ、以下の条件に当てはまる人
・70歳以上
・過去に厚生年金加入期間がある
・厚生年金適用事業所で、厚生年金が適用される人
◆従業員が70歳以上被用者に該当する
◎届け出書類 :厚生年金保険 70歳以上被用者 該当・不該当届
◎提出期限 : 該当した日から5日以内
◎提出先 : 年金事務所
◎添付書類 :特になし
◆70歳以上被用者の給与や賞与の届け出
◎届け出書類
・厚生年金保険 70歳以上被用者 算定基礎・月額変更・賞与支払届
◎提出期限
・算定基礎届:毎年7月10日
・月額変更届:変更後すみやかに
・賞与支払届:賞与支払日から5日以内
◎提出先 : 年金事務所
◎添付書類 :特になし
<社会保険 : 妊娠・出産・育児の手続>
従業員は妊娠すると出産前と出産後の休業をとることができます。
また、休業を届け出ることで、休業期間中の社会保険料が免除されます。
(産前産後休業について)
産前産後休業とは、労働基準法で定められた休業です。
休業期間は原則として産前6週間(双子以上なら14週間)、産後8週間以内の期間です。
*産前休業は任意、産後休業の7~8週目は本人の希望と医師の承諾があれば就業きます。
【産前産後休業取得者確認通知書】
産前産後休業取得者確認通知書
【産前産後休業の申出】
◎届け出書類
・健康保険 厚生年金保険 産前産後休業取得者申出書
◎提出期限 : 産前産後休業を取得したら速やかに
◎提出先 : 年金事務所
◎添付書類 :特になし
(出産予定日がずれた場合)
◎届け出書類
・健康保険 厚生年金保険 産前産後休業取得者変更(終了)届
◎提出期限 : 変更があったらすみやかに
◎提出先 : 年金事務所
◎添付書類 :特になし
(出産手当金について)
従業員の産前産後休業中に給与が支払われない場合、その期間中出産手当金が支給されます。
支給金額は1日につき標準報酬日額(支給開始日以前の12カ月の標準報酬月額を平均した金額÷30)の3分の2です。
また、給与の支払いがあっても出産手当金より少なければ、給与との差額が支給されます。
【出産手当金の支給申出】
◎届け出書
・健康保険 出産手当金支給申請書
◎提出期限 : 産前産後休業を取得したら速やかに
◎提出先 : 年金事務所
◎添付書類 :特になし
(出産育児一時金について)
妊娠4か月(85日)以上で出産した従業員やその被扶養者は、出産育児一時金(家族出産育児一時金)を受けられます。
支給金額は、一児につき一律42万円です。
【出産育児一時金の支給申出】
◎届け出書類
・健康保険 被保険者 家族 出産育児一時金支給申請書
◎提出期限 : 出産した日の翌日から2年以内
◎提出先 : 年金事務所
◎添付書類 :特になし
「出産育児一時金の直接支払制度について」
出産前に被保険者等と医療機関等が出産育児一時金の支給申請及び受け取りに係る契約を結び、医療機関等が被保険者等に代わって協会けんぽに出産育児一時金の申請を行い、直接、出産育児一時金のの支給を受けることができる制度です。直接、協会けんぽから医療機関等に支払われることから、医療機関等の窓口で高額な出産にかかった費用を支払う必要がありません。
直接支払制度が利用できるかどうかは出産予定の医療機関等に確認の必要があります。
(育児休業について)
従業員は原則として子が1歳になるまで、男女とも申請により育児休業を取ることができます。
育児休業中は社会保険料が免除されます。
【育児休業の取得】
◎届け出書類
・健康保険 厚生年金保険 育児休業等取得者申出書
◎提出期限 : 育児休業開始後すみやかに
◎提出先 : 年金事務所
◎添付書類 :特になし
【予定より早く育児休業を終了する場合】
◎届け出書類
・健康保険 厚生年金保険 育児休業等取得者終了届
◎提出期限 : 育児休業終了後すみやかに
◎提出先 : 年金事務所
◎添付書類 :特になし
*社会保険料が免除されるのは、育児休業期間およびそれに準ずる休業期間中で、最長で子が3歳に達するまでです。
従業員だけでなく、事業主も免除されます。
*保険料免除期間は、育児休業の開始月から終了月の前月までです。
(産前産後休業終了時及び育児休業終了時の随時改定について)
産前産後休業や育児休業終了後に職場復帰して、一定以上給与が減少した場合、標準報酬月額の改定により社会保険料の負担を軽くできる手続きがあります。
「産前産後休業後に随時改定ができる基本条件」
●産前産後休業後も子を養育している
●産前産後休業終了月以後3か月間に、支払い基礎日数17日以上の月がある(3か月のうち、1ヵ月でも「17日以上」あれてば大丈夫です)
【産前産後休業終了時の随時改定】
◎届け出書類
・健康保険 厚生年金保険 産前産後休業等終了時報酬月額変更届
◎提出期限 : 休業終了後すみやかに
◎提出先 : 年金事務所
◎添付書類 :特になし
「育児休業後に随時改定ができる基本条件」
●育児休業後も子を養育している
●育児休業終了月以後3か月間に、支払い基礎日数17日以上の月がある(3か月のうち、1ヵ月でも「17日以上」あれてば大丈夫です)
【産前産後休業終了時の随時改定】
◎届け出書類
・健康保険 厚生年金保険 育児休業等終了時報酬月額変更届
◎提出期限 : 休業終了後すみやかに
◎提出先 : 年金事務所
◎添付書類 :特になし
■出産・病気・ケガ・死亡など
<健康保険給付の支給額一覧>健康保険での主な支給の一覧です。
【現物給付 : 健康保険証の提示で受けられる】
*病気やケガをした場合*
◎療養の給付(家族療養費)
医療費の自己の負担が原則3割。
◎入院時食事療養費・入院時生活療養費
入院時の食事代などの費用が一部負担でよい。
【現金給付 : 申請により現金の給付が受けられる】
*病気やケガをした場合*
◎療養費(家族療養費)
治療時に立て替え払いをしたとき、払い戻しを受けられる。
◎高額療養費
医療費の自己負担額が高額になったとき、一定額を超えた分が払い戻される。
◎移送費(家族移送費)
医師の指示により移送されたとき、費用の一定額が支給される。
◎傷病手当金
病気やケガで仕事を休んで給与が支払われないとき、一定額を支払われる
*子が生まれた*
◎出産育児一時金(家族出産育児一時金)
子1人につき原則42万円が支給される。
◎出産手当金
出産のため仕事を休んで給与が支払われないとき、一定額が支給される。
*亡くなった*
◎埋葬料・埋葬費(家族埋葬料)
遺族等に原則5万円が支給される。
<社会保険 : 療養(補償)給付たる療養の給付請求>
従業員の病気やケガが業務外によるもので、労災保険の対象でない場合、健康保険の給付を受けられます。
健康保険の給付は、健康保険証を提示することで医療費の負担が3割となる「療養の給付」が主なもので、従業員の扶養家族(被扶養者)にもほど同様の給付を受けられます。
【療養費の支給申請 : 受信時に健康保険証を提示できなかったとき】
治療時に健康保険証を提示できなかった場合には、いったん治療費を全額支払い、後日の申請により払い戻しを受けられます。
◎届け出書類
・健康保険 被保険者 家族 療養費支給申請書
◎提出期限 : すみやかに
◎提出先 :協会けんぽ
◎添付書類
・領収書
・診療明細書
・健康保険負傷原因届(ケガの場合)
・第三者等の行為による傷病届(第三者の行為が原因の場合)
<社会保険 : 傷病手当金支給申請>
業務外による病気やケガで会社を休み給与が支給されない場合、健康保険から傷病手当金を受けることができます。
(傷病手当金の支給要件)
①病気やケガのために働けない
②連続4日以上の休業
*3日間は待期期間
*業務外の事由による病気やけがの療養のため仕事を休んだ日から連続して3日間(待機)の後、4日目以降の仕事につかなかった日に対して支給されます。待機には、有給休暇、、土日、祝日等の公休日も含まれます。
③休業している間、給与が全部又は一部しか支給されない
*給与が支払われている間は、傷病手当金は支給されません。ただし、給与の支払いがあっても、正午湯手当金の額よりも少ない場合、その差額が支給されます。
(支給される期間)
支給される期間は、支給開始した日から最長1年6か月です。
(支給される金額)
支給金額 : 一日当たりの金額の3分の2
一日当たりの金額 → 支給開始以前の継続した12か月間の各月の標準月額を平均した額÷30
支給額は、「休業一日につき標準報酬月額の平均÷30日」の3分の2に相当する額です。給与が一部支給される場合は、その金額が傷病手当金の日額より少なければ、その差額が支給されます。
(支給停止(支給調整)されるケース)
・病手当金と出産手当金が受けられるとき
・資格喪失後に老齢(退職)年金が受けられるとき
・障害厚生年金または障害手当金が受けられるとき
・労災保険から休業補償給付を受けていた場合
【傷病手当金】
◎届け出書類 : 健康保険 傷病手当金支給申請書
◎提出期限 : 仕事に復帰できるようになったら速やかに
◎提出先 : 協会けんぽ
◎添付書類 : 初回申請時
・賃金台帳
・出勤簿
・負傷原因届(ケガの場合)
・第三者等の行為による傷病届(第三者行為が原因である場合)
「必要なこと、準備するもの」
●申請書3ページ目:事業主の証明
●申請書4ページ目:担当医師の意見書
●出勤記録(休みをスタートした月から)
●給与明細(休みをスタートした月から)
□支給開始日以前の12か月以内で事業所に変更があった方
●以前の各事業所の名称、所在地及び各事業所に使用されていた期間がわかる書類(所定書式あり)
□障害厚生年金の給付を受けている方
□老齢退職年金の給付を受けている方
●年金給付額等がわかる書類のコピー
□労災保険から休業補償給付を受けている方
●休業補償給付支給決定通知書のコピー
●負傷原因届(所定の書式あり):ケガ(負傷)の場合
●第三者行為による傷病届(所定の書式あり):第三者による傷病の場合
□被保険者が亡くなられ、相続人の方が請求する場合
●被保険者との続柄がわかる戸籍謄本など
◇退職後の傷病手当金:手続きは本人がする必要があります
傷病手当金受給中に退職した場合、退職の前日までに1年以上健康保険に加入していれば、引き続き支給を受けられます。
<高額療養費支給申請>
医療費の自己負担は3割負担が原則ですが、重い病気での長期入院や治療が長引く場合など、その3割負担も大きくなる場合があります。そのため、一定額を超える医療費は申請により払い戻し(高額療養費)を受けられます。
被保険者、被扶養者ともに同一月内の医療費の自己負担限度額は、年齢及び所得に応じて規定の計算式により算出されます。
また、高額療養費の自己負担限度額に達しない場合であっても、同一月内で同一世帯で21,000円以上の自己負担が複数あるときは、これらを合算して自己負担限度額を超えた金額を支給されます。(世帯合算)
(高額療養費の現物給付化「健康保険限度額適用認定証」)
70歳未満の方であっても、平成24年4月より、従来の「入院される方」及び「外来で在宅時医学総合管理科及び在宅末期医療総合診療科を算定される方」に加え、「外来で療養を受ける方」の高額療養費を現物給付化し、一医療機関ごとの窓口での支払いを自己負担限度額までにとどめることができようになりました。
この制度を利用するには、事前に全国健康保険協会のしぶに「健康保険限度額適用認定申請書」を提出し、「健康保険限度額適用限定証」の交付を受け、医療機関度窓口に限定証と被保険者証を提出してください。
(長期高額疾病についての負担軽減「健康保険特定疾病療養受療証」)
人工透析を実施している慢性腎不全の患者については、自己負担の限度額は、10,000円となっており、それを超える額は現物給付されるので、医療機関の窓口での負担は最大でも10,000円で済みます。ただし、診療のある月の標準報酬月額が53万以上である70歳未満の被保険者又はその被扶養者については、自己負担限度額は20,000円となります。この他、血友病、抗ウイルス剤を投与している後天性免疫不全症候群の人につても、自己負担の限度額は、10,000円となっています。
なお、人工透析患者などについては、医師の意見書等を添えて全国健康保険協会の支部に申請し、「健康保険特定疾病療養受療証」の交付を受け、医療機関の窓口にその受療証とその被保険者証を提出してください。
<高額介護合算療養費>
世帯内の同一の医療保険の加入者について、毎年8月から1年間にかかった医療保険と介護保険の自己負担額(高額要領日及び高額介護(予防)サービス費の支給を受けることができる場合には、その額を除く)を合計し、規定の基準額を超えた場合に、その超えた金額を支給します。
<社会保険 : 埋葬料(費)>
従業員やその家族が業務外の病気やケガで亡くなった場合、健康保険から埋葬料や埋葬費の支給を受けられます。
◎埋葬料:5万円
亡くなった被保険者に生計を維持されたいた人が埋葬を行う場合に支給。
◎家族埋葬料:5万円
被扶養者がなくなったとき被保険者に支給されます。
◎埋葬料:上限5万円
埋葬料と家族埋葬料の対象者がいない場合、埋葬を行った人に埋葬にかかった費用が埋葬費として支給
【埋葬料(費)】
◎届け出書類
・健康保険 被保険者 家族 埋葬料(費)支給申請書
◎提出期限 : すみやかに
◎提出先 : 協会けんぽ
◎添付書類
・負傷原因届(ケガが原因の場合)
・第三者等の行為による傷病届(原因が第三者行為の場合)
・住民票など生計維持を確認できる書類(埋葬料の場合)
・費用がわかる明細書・領収書(埋葬費の場合)
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